ふわふわな被毛に覆われ、ぬいぐるみのような愛らしい容貌を持つポメラニアン。
丸いフォルムでころころと歩く姿はまるで毛糸玉のようですね。
ドイツとポーランドにまたがるポメラニア地方出身のポメラニアンは、ヴィクトリア女王が愛好したことでも有名です。
そんなポメラニアンの平均寿命は12~16歳。
丈夫で長寿な子が多いとされるポメラニアンですが、日々の食生活や健康管理で寿命は大きく変わってきます。
そこで今回は、老犬期を迎えたポメラニアンに必要な栄養とドッグフードについてご紹介します。
ポメラニアンはいつから老犬?ドッグフードを切り替えるタイミングは?
犬も老化のスピードには個体差があり、ここから老犬と区切ることはできません。
ポメラニアンは比較的丈夫な犬種なので、シニアと呼ばれる年齢になっても元気に走り回る子もいます。
年齢にとらわれず、老化の兆しが見え出した頃がドッグフードを切り替えるタイミングです。
一般的には、小型犬のポメラニアンは9歳頃から老化が始まると言われています。
だいたい8歳~9歳頃から老化の兆候が現れてきます。
・食欲不振(又は旺盛になる)
・寝ている時間が長くなる
・髭や被毛が白くなってくる
・名前を呼んでも反応がない(聴力の低下や認知症)
・疲れやすく散歩に行きたがらない
・段差でつまずく
上記のような行動の変化が見られたら老化が始まり、食生活を見直す必要があるサインです。
若い頃と同じドッグフードを与え続けると栄養不足やカロリー過多となり体調を崩しかねません。
老化のサインを見逃さないよう、毎日のスキンシップで観察しましょう。
老犬のポメラニアンにはどんな栄養が必要なの?
犬も人間と同じように必須となる栄養素があります。
五大栄養素と呼ばれるたんぱく質・炭水化物・脂質・ビタミン・ミネラルに加えて、オメガ3など老化を防止する栄養素も大切になってきます。
必要な栄養は人間と同じですが、体のメカニズムが違う分、量や比率に差があります。
・たんぱく質
骨や筋肉、内臓、爪、皮膚、被毛などあらゆる組織の形成に欠かせないたんぱく質は、約20種類のアミノ酸から構成されています。
犬はたんぱく質をエネルギー源として使う量が多いので、人間よりも多くのたんぱく質が必要になります。
ドッグフードには動物性たんぱくと植物性たんぱくが使用されますが、アミノ酸含有量が多い動物性たんぱくが特に必要です。
たんぱく質が不足すると骨や筋肉が衰え、被毛の発育も悪くなります。
・炭水化物
炭水化物もエネルギー源であり必要な栄養素ですが、過剰に摂取すると肥満や糖尿病を招きます。
炭水化物はお米やパン、トウモロコシなどに多く含まれますが、肉食動物である犬には消化が難しく、あまり必要としないという特徴があります。
とはいえ不足すると低血糖で疲れやすくなったり、頭の回転が鈍くなったりするのでバランス良く摂取する必要があります。
・脂質
体を動かすエネルギー源であり、体温を維持する役割もあるのが脂肪です。
皮膚や被毛を美しく保つ働きもあるので、不足すると毛がパサついたり毛艶が悪くなります。
皮膚も弱くなるため皮膚炎を引き起こす可能性もあります。
・ビタミン
ビタミンは野菜やフルーツ、レバーなどから摂取でき、代謝を促す役目があります。
ビタミンには抗酸化作用があるので老化防止には非常に効果的です。
ただ、水に溶けやすい水溶性ビタミンは熱に弱いため、熱湯でドッグフードをふやかすのは避けましょう。
・ミネラル
ミネラルは体内で生成できない栄養素であるため、食事から摂らなければなりません。
肉や魚、海藻や大豆など多くの食材に含まれています。
ポメラニアンは骨や歯がやや弱い犬種なので骨を強化してくれる栄養素は欠かせません。
ミネラルが不足すると疲れやすくなったり、代謝がうまく機能しなくなります。
・オメガ3脂肪酸(α-リノレン酸)
人間のアンチエイジングでも有名な必須脂肪酸であるオメガ3脂肪酸は犬の老化予防にも効果を発揮します。
体内で合成出来ない脂肪酸の為、食べ物から積極的に摂取する必要があります。
代表的なDHAやEPAは、イワシやサバなどの脂が乗った青魚に豊富に含まれています。
皮膚・被毛・心臓・血管・血液の健康維持、記憶力・集中力の向上や視力の保護、新陳代謝を促し血液をサラサラにするなど様々な効果があります。
エイジングケアにはとても効果的といえますね。
主にドッグフードで使用されるのは魚の他にサーモンオイルや亜麻仁などがあります。
ポメラニアンの食事で気をつけたいことは?
・高カロリーは避ける
ポメラニアンは食いしん坊で肥満になりやすい犬種なので、高カロリーのものは避けたいところです。
炭水化物の摂りすぎで太ってしまうケースは多いです。
体格に個体差が出やすいのですが、一般的にポメラニアンの理想的な体重は約2㎏と言われています。
1歳の頃の体重がそのポメラニアンの理想的な体重と言われているそうです。
高齢になると体重が増えたり減ったりしやすく体重管理が難しくなるので、カロリー面で注意が必要です。
肥満は膝蓋骨脱臼や様々な疾患の原因になるので気をつけましょう。
・無添加である
元気な成犬時代と違い、免疫力が低下するとわずかな添加物にも敏感になります。
特に、消費期限を長く確保するための酸化防止剤(防腐剤)は新鮮さを保つために必要ですが、エトキシキンやBHA(ブチルヒドロキシアニソール)などは犬の体に害を与える危険な化学物質です。
非常に高い抗酸化作用があるためドッグフードに使用されることが多々ありますが、こうした添加物は発がん性が危惧され、皮膚病やアレルギーを引き起こす恐れもあります。
人間の食品には使用することが禁止されているのに、ドッグフードには含まれているなんて怖いですよね。
最近ではエトキシキンやBHAのような人工的な化学物質ではなく、天然の優しい酸化防止剤が使われているドッグフードも増えました。
ビタミンC・ビタミンE・クエン酸・ミックストコフェロール・ローズマリー抽出物・コーヒー豆摘出物…
これらの成分を酸化防止剤として使用しているドッグフードを選んでください。
エトキシキンやBHAに比べ抗酸化作用は劣りますが、安全で犬の体に害を与えないのが一番です。
・グレインフリーである
穀物(米や小麦・トウモロコシ)が一切含まれていないことをグレインフリーと言います。
最近はグレインフリーのドッグフードも沢山見られるようになりましたね。
犬は元々肉食動物なので、肉を消化しやすい体質をしています。
牛などの草食動物は、人間の5倍の長さの腸を持っているため、繊維が豊富な穀類も時間をかけて消化することができます。
これに比べ肉食動物の犬の腸は短く、穀類の消化は負担となります。
加えて人間や草食動物と違い、穀類を消化するためのアミラーゼも持っていません。
穀物が全てにおいて悪いという訳ではありませんが、高齢になって消化機能が落ちてきた老犬には不向きです。
グレインフリーの表示があるドッグフードを選んであげましょう。
・被毛のケアに配慮されている
ポメラニアンの特徴であるふわふわな被毛は、サモエドの名残と言われています。
寒い地方で生まれたサモエドを祖先に持つポメラニアンは寒さに強く、暑さに弱い犬種です。
ふわふわとボリュームのある被毛も加齢とともに薄くなったり、抜け毛・パサつきに悩まされたりします。
ポメラニアンにとって大切な被毛を元気に保つには、オメガ3脂肪酸などのミネラルを含む高たんぱくな食事が必要です。
また、子犬の頃からブラッシングはまめにされていると思いますが、老犬になっても必要です。
被毛を健康に美しく保つことは、風邪や皮膚病を防ぐことにつながります。
涙やけ対策になるドッグフードはどんなもの?
ポメラニアンやチワワなど、瞳が大きく鼻が短い短頭種に多い悩みのひとつが涙やけです。
涙の通り道である鼻涙管が詰まり、涙が過剰に分泌された状態が続くことで目の周りが赤茶色に焼けたようになります。
体内に溜まった老廃物が溢れ出ている状態でもあります。
他にも花粉症や目にホコリなどの刺激物が入った場合も涙やけを起こします。
涙やけになると、目の周りに痒みや痛みが出るのでとても可哀そうになりますね。
涙やけを予防・改善するドッグフードの特徴や対策をご紹介します。
・動物性たんぱく質メイン+低アレルゲンである
穀類など植物性のたんぱく質は、消化吸収率が低いため老廃物が溜まりやすくなります。
主原料が良質な動物性たんぱくであるドッグフードは涙やけ対策に必須です。
また、魚や鹿肉などアレルギーが起きにくい原材料が使われていることも大切です。
BHAやエトキシキンなどの保存料もアレルゲンです。
・水分をたっぷり摂る
涙やけの要因は様々なので特定は難しいのですが、多くの場合体内の老廃物が溜まることで起こります。
通常、老廃物は水分と一緒に尿として排出されますが、水分が不足すると尿の回数が減り、老廃物を体の外に出すことができなくなります。
排出できなかった老廃物が、分泌腺の多い口や手、目の周りから出ようとした結果、涙やけができてしまいます。
つまり水分をしっかり摂れていれば涙やけは起こりにくくなります。
フードボウルと一緒に常に水を置き、いつでも水分補給できるようにしましょう。
・添加物(合成保存料、着色料など)が使われていない
合成添加物は体に悪いだけでなく消化吸収の邪魔をします。
添加物を吸収することはできないので、老廃物がどんどん溜まり涙やけを引き起こしてしまいます。
食い付きのためのオイルコーティングなど、添加物や消化の悪い原材料は要注意です。
無添加で体に優しいドッグフードほど、涙やけのリスクは低くなると言えます。
・整腸作用のある乳酸菌が含まれている
消化不良を改善するためには腸内環境を整える必要があります。
乳酸菌やオリゴ糖は腸内を綺麗にし、余分に溜まったものをしっかり便や尿で排出できるようにしてくれます。
・免疫力を高めるハーブが含まれている
涙やけ改善効果があるドッグフードはハーブが使用されていることが多いです。
涙やけで目の周りが赤くなるのはバクテリアの繁殖が原因です。
ハーブが持つ抗菌作用によって、バクテリアの繁殖を防ぐことができます。
涙やけだけに特化したドッグフードは数少ないですが、
人工添加物や余計な副産物が含まれていない=涙やけになりにくい
と考えて良いでしょう。
ポメラニアンが食事を摂らないときは?
年齢を重ねると自然と食欲が落ちることは仕方のない事ですが、食欲を促す方法はあります。
栄養不足に陥らないよう色々と試してみましょう。
・1回の給餌量を減らし、回数を増やす
加齢で食べ物を消化できるスピードが遅くなると、一度の食事で食べられる量が減ります。
一度に食べさせていたフードの量を少し減らして、複数回に分けて与えてみて下さい。
胃にかかる負担を軽くすることができます。
・お湯でふやかし香りを立てる
食欲不振の原因が、嗅覚や噛む力の低下の可能性もあります。
ドッグフードにお湯を注ぎ、柔らかくしてあげましょう。
お湯の温度はぬるま湯程度にします。
早く軟らかくなるからといって、熱々の熱湯をかけてしまうとドッグフードの栄養価が下がるので注意しましょう。
また、お湯をかけて香りを立たせることで、嗅覚が衰えた子の食欲を促すことができます。
・トッピングで食欲を促す
いつものフードにささみなどトッピングをプラスしてあげると新鮮で喜ぶ子もいます。
馬肉やかつおぶし、ジャーキーなど香りが強めなものがおすすめです。
特に消化に良いサツマイモは甘味があって喜ぶ子が多く、手軽に手に入ることからも人気の食材です。
トッピングにする食材も、潰したり温めるなどして柔らかくしてあげましょう。
ポメラニアンにおすすめのドッグフードは?
数多あるドッグフードの中で愛犬にベストのものに出会うのはなかなか大変ですね。
本来ポメラニアンは好き嫌いがはっきりしていて、嫌いなものはとことん食べないので飼い主さんを困らせることも。
ここではドッグフードの中でもポメラニアンの飼い主さんに特に人気・おすすめのドッグフードをまとめてみました。
・オリジン シニア
オリジンは生物学的観点に基づき、犬や猫にとって最適な食事を追求したバイオロジックフード。
数々の賞を受賞してきたアメリカのペットフードメーカーで、原材料の調達から製造・販売まで全ての工程を自社で行っています。
オリジン シニアの特徴は何といってもたんぱく質量が38%と群を抜いて高いこと。
原材料の85%がお肉なので、食いつきの良さにも期待できます。
ただ量が多いだけでなく品質にこだわり、アミノ酸バランスに優れた肉・魚・全卵などの動物性たんぱく質を使用しています。
●香りが良く、食い付きも良い。品質は確かだけれどお値段が高い…
●他のフードからの切り替えですが、問題なく食べてくれました。
●品質は素晴らしいのですが、チワワには粒が大きめなので小さく砕いてあげています。
オリジンはクオリティの高さから少々お値段が高く続けるのが厳しいというデメリットがあります。
また、小型犬には粒が大きいようなので、砕いたりふやかして小さくする必要があるかもしれません。
・アカナ
知名度が高く、多くのリピーターを持つアカナ。
新鮮で良質な原材料を使用した高品質フードでありながら比較的リーズナブルです。
製造元が同じオリジンと比較されがちですが、価格はオリジンの方が高めとなっています。
また、ライフステージや症状に合わせたフードのラインナップも豊富です。
オリジン同様、他社に外注せず自社のキッチンで調理から品質管理まで行っています。
●ブリーダーさんに勧められてパピーの頃からずっと与えています。高タンパクなので毛も抜けにくく毛並みも良いです。
●原材料全て明記されて安心です。毛艶が良くなりました。喰いつきはうちの子達はあまり良くなかった。
●飽きずに食べてくれるし薬要らずで元気に過ごしています。
知名度が高いだけに評価はかなり良い印象があります。
品質の高いフードを与えたいけどオリジンは少し高い…という方にもおすすめです。
・ブラックウッド
米国最高級のプレミアムドッグフード「ブラックウッド」もポメラニアンの飼い主さんに人気のドッグフードです。
栄養を壊さない低温調理や、無添加・ヒューマングレード、優れた栄養吸収率など、徹底された品質の良さがリピーターを得る所以でしょう。
ただ、ブラックウッドは穀物が使用されている事や、チキンミールが含まれている点などは気になるところです。
チキンミールとは鶏の様々な部位が使われているという意味で、鶏のどの部位が含まれているのか分からないのです。(くちばしや足・羽など、本来破棄される部分が使用されることも)
●非常に食いつきが良く、うんちの状態も良好
●チキンミールが合わなかったのかカイカイが出てしまった
●少し高いけれど愛犬がこれしか食べないってくらい大好きなので続けています
良い口コミは食い付きの良さが目立ち、悪い口コミでは下痢など消化の問題が見られました。
やはり穀類やチキンミールが含まれていることから、体質によって良し悪しがはっきり分かれるフードかもしれませんね。
・カナガン
カナガンも知名度が高くリピーターも多いドッグフードです。
動物性タンパクを60%配合し、毛並みを美しくするオメガ3脂肪酸(DHA・EPA)を豊富に含むサーモンオイルと海藻が使われています。
ポメラニアンのようなふわふわの被毛を持つ犬種に嬉しい成分ですね。
●食い付きはとても良く、躾のご褒美として1~2粒与えても喜んで食べます。
●ジッパーが付いてないので封を切った後はきちんと密閉しないとすぐに酸化してしまいます。
●涙やけに効果はなかったけど、食い付きや便の状態は良く、いい具合に肉がついてきました。
お肉の配合量が多く、余計な副産物が使われていない点など、カナガンは高品質で嗜好性も高い印象があります。
病院で紹介されたという飼い主さんも多く、そこも信頼されるポイントかもしれませんね。
・吉岡油糧
吉岡油糧はわんちゃんの悩みに応じてオーダーメイドできる手作りドッグフードです。
こちらもポメラニアンの飼い主さんから好評のようです。
お肉やフードベース・粒の大きさなど選ぶことができ、年齢・体質・好みなど細かい情報をカルテにしてぴったりのフードを作ってくれます。
大学教授や歯科医師などのアドバイザーによる指導のもとでオリジナルフードが製造され、大変信頼のおける贅沢なフードと言えるでしょう。
厳選した新鮮な原料で特殊加工し、密度を高めているため給餌量は少なめとなっています。
(今までのフードの2/3程度、計量カップの場合は3/5程度)
賞味期限は未開封で6ヶ月、開封後は1か月以内となっています。
●食い付きは抜群
●毛並みに艶が出た
●丁寧にアドバイスをしてくれるから安心
レビューを拝見すると、こちらも食い付きの良さが特に目立ちました。
それぞれの好みに合わせて作ってくれるので嗜好性は抜群と言えるでしょう。
公式サイトではフードのお試しができるので、まずは愛犬が気に入るか、体質に合うかどうか試してみると良いですね
まとめ
いかがでしたか?
今回は老犬ポメラニアンのドッグフードについてご紹介しました。
ポメラニアンは小さいながらも丈夫な犬です。
稀に20歳を超えるご長寿な子もいます。
体質に合う良質なドッグフードを与え、きちんと健康管理をすればもっと健康寿命を延ばすことができます。
毎日のスキンシップも大切にして、元気に長生きできるようにしてあげましょう。